活動方針

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 小児期に腎機能が高度に低下すると身長が伸びなくなります。近年は中等度の低下でも小児期にも代謝異常や高血圧が生じることがわかってきました。乳幼児期の健診や学校健診の場で、成長障害の原因の一つとして生まれつきの腎臓の病気を見出すことは重要です。将来的には産科の先生方に御協力をいただいて新生児期の腎計測スクリーニングを行ないたいと考えています。

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 1970年頃の学童の長期欠席者(年間50日以上)のうち腎疾患患児の占める割合が15%と最も多く、その対策として1973年に学校保健法施行規則に尿検査(蛋白)が加えられ,翌年から全国で学校検尿が開始されました。IgA腎症治療の進歩もあり1990年以降は小児期に末期腎不全に至る事例が激減しました。県内全てのこどもたちがこの恩恵を蒙るには、個別に取り組んでいらっしゃる校医、かかりつけ医、養護教諭の皆さんと連携して、集団検尿の精度管理や事後措置を検証する仕組みが必要です。成人の地域連携網構築と歩調を合わせ、市町村や保健所などとも情報共有できる仕組み作りをしたいと考えています。実現すれば「岡山モデル」として全国の範となるでしょう。

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 小児保健の柱の一つが疾病の予防です。予防接種の普及による感染症予防とならんで重要なのが生活習慣病予防です。成人になって食事・運動の指導を受けるのではなく、小児期の遊びの中で自然に身につけてゆけるように、保育園・幼稚園・学校の現場と協力して、中高生への健康教育を推進しなければなりません。小児保健の充実は地域医療や地域社会を持続可能にする礎になるはずです。
 労働人口が減少し、働くお母さんたちが増えているためでしょうか、こどもたちは個食、メディア漬け、夜更かしによる肥満や羸痩などの栄養障害や運動不足が常態化し、やせすぎの若年女性の割合は先進国の中で突出しています。胎児期から小児期の栄養障害は成人期のCKD・CVDにつながるものと懸念されています。こうした長期にわたる問題についても、成人の連携網と協力して解明・解決できればと考えています。(桑門克治委員)

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